バングラデシュでは受刑者が死刑執行!?最多の刑執行人が死去
フランスのAFP通信によると、バングラデシュで最も多くの死刑を執行してきた元受刑者シャージャハン・ブーヤ(Shahjahan Bouya)さん(享年70歳)が6月24日、死去したようです。ブーヤさんは、悪名高い連続殺人犯や戦争犯罪で有罪となった野党指導者、クーデター首謀者らの絞首刑を担い、1年前に刑務所から釈放されていたようです。
同記事によると、ブーヤさんは昨年6月に釈放されて以降、死刑執行人としての体験をまとめた本がベストセラーとなり、50歳下の女性と短期間結婚。この数週間は、動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」に10代の少女らとの動画を投稿し、爆発的な人気を呼んでいたそうです。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)の調べでは、バングラデシュは死刑判決数で世界第3位で、
死刑執行は、受刑者が担っているようです。
死刑執行人になった経緯
ブーヤさんは読書家で、マルクス主義者の革命家だった1970年代、隣国インドのかいらいと見なす政権の転覆を目指す非合法組織に加わり、1979年、警察との銃撃戦の際にトラック運転手が死亡した事件で、殺人罪で有罪判決を受けたそうです。
ブーヤさんは、12年間続いた裁判の勾留中、死刑執行役を担っている受刑者が、4人の受刑者からマッサージを受けるなど、「最高級」の待遇を受けていることに気づき、自ら執行人に志願したようです。
元々、禁錮42年を言い渡されていましたが、数十人の死刑を執行したことで減刑され、昨年釈放されました。
バングラデシュの死刑について
記事によると、バングラデシュでは、大統領の慈悲を求める最終的な訴えが却下されれば、死刑囚はいつでも絞首刑にされ得るようです。執行日については、執行人に数日前に知らされるので、その後はロープを準備し、土のうを使って床の落とし板が動くか試すとのこと。
死刑囚の家族は、最後の面会が認められており、その前に死刑囚は香草で匂いをつけた湯で体を洗われ、清潔な白い服を着せられ、自分で選んだ最後の食事を与えられるようです。
執行開始は真夜中の1分後。死刑囚に後ろ手に手錠をかけ、黒いマスクで目隠しをし、絞首台へ誘導。首に縄をかけ、カリマを唱えるよう促し、刑務官がハンカチを振り下ろすと、死刑執行人の受刑者がレバーを引くようです。
ブーヤさんの死刑執行数については、矯正当局は26回としていますが、本人は60回だと主張しています。
1975年にクーデターを企て、建国の指導者でシェイク・ハシナ・ワゼド(Sheikh Hasina Wajed)首相の父を殺害した軍の将校らの処刑も担ったようです。
ブーヤさんは服役中、死刑を執行するたびに牛肉、鶏肉、香辛料の効いたピラウといった特別な食事を振る舞われました。
人権団体は、バングラデシュの刑事司法制度には大きな欠陥があると非難していますが、ブーヤさんはそうした批判を受け流す一方で、少なくとも3人の死刑囚は無実だったと信じていると語っていたそうです。
バングラデシュでの裁判は、裁判官などに賄賂を支払わないと何十年も続くことになると聞いたことがありますが、ブーヤさんのケースも12年間かかったと記事にありましたし、10年以上かかるのは当たり前なのかもしれないですね。
刑務所に収容されている受刑者の中には、お金を持っている受刑者に雇われ、刑務所内でベアラーのような仕事をしている人もいるという噂を聞いたことがありましたが、死刑執行までさせられるんですね。
記事では、ブーヤさんが「少なくとも3人の死刑囚は無実だったと信じている」と話していたと書かれていましたが、バングラだったらそのようなことがあっても全くおかしくないですし、驚きはないですね。